
第7回で、2025年は配当を意識した売買を続けながら、決算を見て判断するなど、ほかの手法も試していたと書いた。今回は、その2025年の売買を、証券会社からダウンロードした取引履歴(約定履歴)で振り返る。
ここで示すのは、口座全体の成績ではなく、試した戦略ごとの結果の目安である。金額や株数は出さず、損益率や勝った回の割合も丸めた値で書く。
振り返った取引履歴
使ったのは、2024年1月〜2025年12月の約定履歴である。この期間の売買は、すべてこの口座で行っている。
2024年は、10月以降に積立を設定したことと、特定口座で持っていた株をNISAに移したくらいで、個別株の売買はほとんどない。振り返りの中心は、売買が増えた2025年である。
数え方は次のとおりである。
- 同じ銘柄を同じ口座で買ってから、すべて売るまでを1回と数える
- 損益率は、売ったときの受渡金額の合計を、買ったときの合計で割って求める
- 配当と税金は含めない(売買手数料はかかっていない)
- 2024年より前から持っていた銘柄は、買った価格が履歴にないため対象外
- 積立は売っていないので、2025年12月の最後の買付日の基準価額で評価する
2025年に試した3つのやり方
履歴を見返すと、2025年の売買は大きく3つに分けられた。
| やり方 | 主な時期 | 口座 | 持つ期間 |
|---|---|---|---|
| 配当・優待を意識して持つ | 1〜8月に購入 | NISA | 1か月ほど(中央値) |
| 決算狙いの短期売買 | 9〜12月 | 特定口座 | 2週間ほど(中央値) |
| 投資信託の積立 | 通年 | 主にNISA | 売らずに持ち続ける |
個別株の2つのやり方を比べると、次のようになった。
配当・優待を意識して持つ:勝ちは約7割
1〜8月は、配当や優待を意識してNISAで買い、上がったところで売ることが多かった。この売買では、勝った回が約7割、1回あたりの損益率は平均で+4%前後だった。
うまくいった例は次のとおりである。
- 日本たばこ産業(JT):3回に分けて買い、1〜2か月持って3回に分けて売った。全体で約+13%
- ENEOSホールディングス:1月に買ったものは下がり、5月に約−14%で売った。7月にNISAで買い直したものは、8月に約+22%で売れた
- KDDI:8月に数日で売買して、+4%前後と+5%前後を1回ずつ
大きく上がったものには小型株もあり、property technologiesは約+22%、SYSホールディングスは約+17%で売れた。
負けた回もあるが、平均すると勝ったときの幅(+9%前後)が、負けたときの幅(−7%前後)より大きかった。
決算狙いの短期売買:勝ちは半分弱
9月からは、特定口座で決算を狙った短期売買を試した。決算の内容を見て買い、数日〜数週間で売るやり方である。売買の回数は10月がいちばん多かった。
こちらは、勝った回が半分弱で、1回あたりの損益率は平均で−2%前後とマイナスになった。
勝った回は、レーザーテックやSOMPOホールディングスのように、2週間ほどで+8%前後のものがあった。一方で、負けた回は次のようなものである。
- サンリオ:11月に買い、下がったところで買い増した。その後、4回に分けて売り、全体で約−14%
- 小型のIT株:−1割前後で売ったことが3回あった
このやり方では、勝ったときの幅(+5%前後)より、負けたときの幅(−8%前後)のほうが大きかった。勝つ割合が半分を切り、さらに負けの幅が大きかったので、全体ではマイナスになった。
積立:設定したまま、2025年末で約+2割
個別株とは別に、投資信託の積立は毎月続けていた。2025年12月時点の評価は次のとおりである(売っていないので、含み益の目安)。
| 積立先 | 2025年12月時点 |
|---|---|
| 日経平均 | 約+27% |
| 先進国株式(除く米国) | 約+21% |
| S&P500 | 約+18% |
途中の動きを見ると、ずっと順調だったわけではない。
2025年4月には、S&P500のファンドの基準価額が1月から約2割下がり、積立の評価もS&P500で−15%前後、日経平均と先進国株式(除く米国)で−1割前後まで落ち込んだ。それでも積立は止めずに続けたので、安い時期にも買えていた。その後は持ち直し、夏には3つともプラスに戻った。
積立の中身は、途中で何度か変えている。
- 6月:半導体株とインド株の積立を止めた(止めた時点で、半導体は約+1割、インド株は小幅なマイナス)
- 8月:旧つみたてNISAで持っていたS&P500を解約した。個別株に資金を回したかったことと、米国株に集中しすぎないように分散したかったことが理由である
- 12月:特定口座で、先進国株式(除く米国)とインド株の投資信託を買い足した
比べてわかったこと
3つを並べると、いちばん手間をかけた決算狙いの短期売買が、目安ではいちばん悪かった。一方で、設定したあとはほとんど何もしていない積立が、いちばん良かった。
ただし、この比べ方は同じ条件ではない。積立は1年近く持ち続けた含み益で、個別株は売ったときの損益率である。2025年は株式市場全体が大きく上がった年でもあり、積立の数字にはその影響が大きく出ている。戦略の良し悪しを比べるなら、第1回で書いたように、TOPIXの配当込みリターンのような同じ物差しで比べる必要がある。
それでも、個別株の2つのやり方の差ははっきりしていた。配当や優待を意識して1か月ほど持つ売買は勝ちが多く、短く売買するほど負けの幅が大きくなった。第3回で書いたように、私が投資を始めたのは「研究の合間に放置しながら楽しめる趣味」としてだった。履歴を見る限り、その目的に近いやり方のほうが結果も良かった。
この1年のあと、2026年1月からは、AIで作ったルールで売買のタイミングを決める方法を試した。その結果は第7回に書いたとおりで、今は配当を中心にした戦略に戻している。
この振り返りの限界
- 配当と税金を含めていない。配当を意識して持った銘柄は、実際には配当の分も上乗せされる
- 2024年より前から持っていた銘柄は対象外にしている
- 9月以降にNISAで買った少数の売買は、どちらのやり方にも当てはまりにくいため、2つの比較には入れていない
- 2つのやり方は時期がずれていて、相場の環境が同じではない
- 回数はそれぞれ十数回と少なく、1年分しかない
- 積立は売っていないので、数字は2025年12月時点の含み益である
まとめ
- 2025年の取引履歴を、試した戦略ごとに振り返った(金額は出さず、目安の値で示した)
- 配当・優待を意識してNISAで1か月ほど持つ売買は、勝ちが約7割、1回あたり平均+4%前後だった
- 決算狙いの短期売買は、勝ちが半分弱、1回あたり平均−2%前後で、負けの幅が勝ちの幅より大きかった
- 積立は設定したまま続け、2025年末の時点でおおむね+2割前後だった
- ただし、時期や評価の仕方がそろっていないため、成績の優劣を決める比較ではない
取引履歴は、証券会社のサイトからCSVでダウンロードできる。何となくの印象ではなく、記録を集計して振り返ると、どのやり方が自分に合っていたのかが数字で見えてくる。
本記事は個人の取引履歴にもとづく振り返りと情報整理であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。過去の成績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。